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歯の根の病気(根尖病変)は放置で悪化?悪化する確率50%を歯科医師が解説
「歯の根の先に病気がある」と言われたけれど、痛みも腫れもない…。本当に治療が必要なの?
そんな疑問を持つ方も多いと思います。
この記事では、歯の根の病気(根尖病変)を放置したときに悪化する確率について、歯科医師が解説します。
なお、歯の根の病気(根尖病変)については〖歯の根の病気“根尖病変”とは何か!? 放置して自然に治ることはある?〗で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
根尖病変(歯の根の病気)を放置して悪化する確率は約50%
『歯の根の病気を放置しておくと、一体どれほどの確率で悪化するのか?』
この疑問に対しては2013年にTsesis先生らが発表した論文が参考になります。(参考文献①)
彼らはレントゲン写真上で根尖病変がある歯200本を治療せずに4年以上経過観察し、病変の大きさがどのように変化するかを調べました。
その結果、200本のうち約50%が悪化し(経過観察中に根尖病変のサイズが拡大)、約30%は変化がなく、約20%の歯は治療をしていなくても改善傾向を示したことを明らかにしました。

悪化した歯の多くは、根管治療や被せ物の治療が適切に行われていなかった歯
また、 Tsesis先生らはどのような歯が経過観察中に悪化したかについても調べました。すると、適合の良くない被せ物が装着されている歯や、以前の根管治療で薬剤がしっかりと充填されていない歯では悪化する確率が高いことが分かりました。
このように以前に行われた根管治療や被せ物の質が、治療成績に影響することは他の論文(参考文献②)でも紹介されています。(図3)
(図2)
(図3)
今回は、歯の根の病気である根尖病変を放置しておくと、どの程度の割合で悪化するのかについて解説しました。
歯の根に病気が見つかった場合、治療するか否かについては、今回紹介した悪化する確率だけでなく、歯科医師の技量・患者さんの希望、自覚症状の有無、炎症の程度、など様々な条件を考慮して慎重に決める必要があります。
詳しくは近日公開予定の〖根管治療、やらなきゃよかった…、とならないために。治療介入するかの意思決定が歯医者の腕の見せ所!〗で解説しますので、よろしければそちらもお読みいただければより理解が深まると思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事は、奈良県大和高田市にある歯医者(歯科医院)、斉藤歯科クリニックの齊藤伸和(日本臨床歯周病学会認定医・日本歯内療法学会会員)が監修・執筆しています。何か不明な点がありましたら、無料相談も受け付けておりますので、是非お気軽にご相談ください。
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参考文献一覧(References)
- Tsesis I, Rosen E, Taschieri S, Telishevsky Strauss Y, Ceresoli V, Del Fabbro M. The dynamics of periapical lesions in endodontically treated teeth that are left without intervention: a longitudinal study. J Endod. 2013;39(12):1510–1515.
- Ray HA, Trope M. Periapical status of endodontically treated teeth in relation to the technical quality of the root filling and the coronal restoration. Int Endod J. 1995;28(1):12–18.



