根管治療中の仮蓋に関するトラブルとしては、“仮蓋がボロボロと取れてきた”や“根管治療中の仮蓋がすり減って凹んでいる”、“仮蓋が完全に取れてしまった”などがあります。
そこで本記事では、根管治療中の仮蓋の役割や、凹んだり取れてしまっても治療結果に悪影響を与えないのか、について解説します。
根管治療において仮蓋はとても重要!!
“仮”とついているため軽視されがちですが、根管治療において仮蓋は非常に重要な役割を持っています。ラバーダム防湿やマイクロスコープ、歯科用CTなどを駆使して根管治療を行ったとしても、不適切な仮蓋をしてしまっては、根管治療を成功に導くことはできません。
【歯の根の治療(根管治療)で後悔しないために。根管治療の失敗と成功を左右するものとは!?】でも解説しているように、根管治療で重要なのは根管(歯の根っこ)の中の細菌をできる限り減少させることです。
そのためには下図のように①ファイルと呼ばれる機器で根管内を削り、細菌が付着している歯質を除去する(根管拡大)、②根管拡大で除去できなかった細菌を洗浄液で殺菌・除去する(根管洗浄)、③1~数週間の期間、根管の中に薬剤を入れて残った細菌を殺菌・除去する(根管貼薬)、④ガッタパーチャやコアと呼ばれるもので根管内を緊密に充填し、細菌の侵入・増殖を防ぐ(根管充填・コア築造)、という4ステップを適切に行う必要があります。
この4ステップを1回の診療で行うことは困難であるため、通常の根管治療は複数回に分けて治療を行います。そこで重要な役割を果たすのが仮蓋です。
適切に仮蓋を行うと、治療と治療の間に細菌が根管内に入り込むことを防ぐことがでできますが、仮蓋が不十分でな場合では、細菌が根管の中に侵入してしまい、根管治療が失敗してしまう可能性が高くなります。