ニッケルチタンファイルで根管治療はどう変わった? 従来のステンレスファイルとの違い
根管治療は、歯科治療の中でも近年大きく治療技術が進歩している領域です。
その進歩を支えている器具がマイクロスコープ、歯科用CT、ニッケルチタンファイル(NiTiファイル)であり、これらは根管治療の3種の神器ともいわれます。
それぞれの器具は役割が異なり、これらの器具を適切に用いることで、根管治療の精度や成功率の向上が期待できます。
本ブログでは、現代の根管治療に欠かせないNiTiファイルについて、分かりやすく解説します。
歯の根を清掃するのに欠かせない器具がファイル
根管治療(歯の根っこの治療)で後悔しないために。根管治療の失敗と成功を左右するものとは!?で解説しているように、根管治療を成功に導く上で最も重要なのは、根管内の細菌を取り除くことです。
そのためには、根管内の汚染物質を除去し、殺菌性のある薬液で根管内をしっかり清掃しなくてはいけません。
しかし、歯の根っこ(根管)はもともとは非常に細い管であり、そのままでは十分な清掃ができません。そこで、細い根管を拡大(根管形成)することにより汚染物質の除去や薬液の到達を可能とするわけですが、この根管拡大に用いられる器具が「ファイル」です。

従来のステンレスファイルには様々な欠点があった
以前、根管治療にはステンレス製の器具が主に使われていました。
ステンレスは丈夫で折れにくいという長所がある反面、 硬く、あまり曲がらないという性質があります。
根管は非常に細く、途中で大きく曲がっていることも多くあります。
そのため曲がった根管にステンレスファイルを使うと、器具がまっすぐに戻ろうとし歯の内側の壁に余計な力がかかってしまいます。
その結果、根管が本来の位置からズレてしまう、最悪のケースでは歯に穴が開いてしまうといった併発症を引き起こす可能性がありました。(下図)
このような併発症が起こった場合、根管治療の成功率が低下することが報告されていることから、曲がった根管をいかに適切に根管拡大するかは歯科医師の悩みの種でした。(参考文献)

ニッケルチタンファイルが根管治療を劇的に変えた
現在、精密な根管治療で多く使われているのがニッケルチタンファイル(NiTiファイル)です。
ファイルの最大の特徴は、 金属でありながら、しなやかに曲がること。この性質により、曲がった根管のカーブに自然に沿いやすくなりました。

ステンレスファイルと比べて、ニッケルチタンファイルが優れているポイントは
① 曲がった根管の根管形成が容易に
ニッケルチタンファイルは柔軟性が高いため、根管のカーブに沿って動きやすく、歯の壁を押し広げるような力がかかりにくい特徴があります。
その結果、不必要に歯を削りすぎるリスクや、歯に穴が開くなどのトラブルを抑えやすくなります。
② 歯本来の形を保った根管治療が可能に
根管形成では、「歯の中をきれいにする」だけでなく、歯本来の形をできるだけ保つことも重要です。
NiTiファイルは、根管の形に沿って処置しやすいため、歯の構造を守りながら治療を進めやすい器具です。
③ 治療の精度と再現性が高い
ニッケルチタンファイルは、機械を使って一定の動きで使用することが多く、治療のムラが出にくいという利点もあります。
これにより、治療の精度が安定しやすい複雑な根管にも対応しやすいといったメリットにつながります。
「ニッケルチタンファイルを使えば安心」ではない
ニッケルチタンファイルは、治療の精度が安定しやすく、複雑な根管にも対応しやすいといったメリットがあります。
ただし、ニッケルチタンファイルは、ただ使えば良いのというものではなく、「どう使うか」ということが最も重要です。同じニッケルチタンファイルを使っていても、歯科医師の知識・技術・経験によって治療の結果に差が出ることがあります。当院の精密根管治療の症例はこちら
ニッケルチタンファイルの持つ性能を最大限発揮するためには、術前の検査診断・ニッケルチタンファイルを使用する前の前処置や根管形成後の洗浄・充填など、根管治療に関するトータルの力が求められます。
根管治療は、歯科治療の中でも専門性が高く、高度な技術が必要とされる治療であり、歯が長持ちするかを左右するとても大切な治療です。本記事の内容が、これから根管治療を受けられる方のお役に少しでも立つことを願っています。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事は、奈良県大和高田市にある歯医者(歯科医院)、斉藤歯科クリニックの齊藤伸和が監修・執筆しています。何か不明な点がありましたら、無料相談も受け付けておりますので、是非お気軽にご相談ください。
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参考文献一覧(References)
- Gorni FGM, Gagliani MM.The outcome of endodontic retreatment: a 2-yr follow-up.J Endod. 2004;30(1):1–4.doi:10.1097/00004770-200401000-00001.PMID: 14760899.



