【保存版】インプラント周囲炎は治る?原因・症状・治療法(治療成功率72.7%)を歯科医師が解説|【公式】斉藤歯科クリニック|奈良県大和高田市の歯科・口腔外科・小児歯科

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【保存版】インプラント周囲炎は治る?原因・症状・治療法(治療成功率72.7%)を歯科医師が解説

【保存版】インプラント周囲炎は治る?原因・症状・治療法(治療成功率72.7%)を歯科医師が解説|【公式】斉藤歯科クリニック|奈良県大和高田市の歯科・口腔外科・小児歯科

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インプラント周囲炎は治る?原因・症状・治療法(治療成功率72.7%)を歯科医師が解説

「インプラント周囲が腫れている・嫌なにおいがする」

「インプラントから血が出る」

「インプラントの不調を訴えたが、『様子を見ましょう』と言われ改善しない」

このような症状で悩む患者さんは少なくありません。

本記事では、インプラント周囲炎の原因・症状・治療法と治療成功率について解説します。

正しい治療を行えばインプラント周囲炎は治すことが可能です。ぜひ最後までお読みください。

インプラント周囲炎とは?

インプラント周囲の骨が溶ける病気

インプラント周囲炎とは、“インプラントを支える骨が溶ける病気”です。

健康なインプラントでは、フィクスチャー(インプラント本体)が骨に囲まれ、周囲の歯ぐきに炎症はありません。

しかし、歯磨き不足や不適切な被せ物によりプラーク(細菌)が付着すると、歯ぐきに炎症が生じます。これをインプラント周囲粘膜炎と呼びます。

周囲粘膜炎の段階では骨に異常はありませんが、放置すると炎症が骨まで広がり、骨が溶けてしまいます。

この状態がインプラント周囲炎です。

インプラントを支える骨が大きく溶けると、最終的にインプラントが抜け落ちる可能性があります。早期治療が重要です。

インプラント周囲炎は珍しくない|罹患率10%

インプラントを装着した患者さんのうち、約10%がインプラント周囲炎を発症すると報告されています。

珍しい病気ではなく、進行すると治療成功率が低下するため、定期的なメンテナンスで早期発見することが大切です。

 

インプラント周囲炎の治療法について

治療法

インプラント周囲粘膜炎の段階では、日々の歯磨き改善歯科医院での非外科的清掃でほとんどのケースが治せます。

しかし、骨まで炎症が広がったインプラント周囲炎では、非外科的清掃だけでは不十分です。

ほとんどの場合、歯ぐきを切開してインプラント表面を直接清掃する外科的処置が必要になります。

ここからはインプラント周囲炎の治療法について解説します。

インプラント周囲炎治療の成功率と影響因子

世界的な治療成功率は30%~60%

ここからはインプラント周囲炎治療の成功率について解説します。

上の表は、おもにヨーロッパで行われたインプラント周囲炎治療の成功率を示した表です。概ね30%~60%という成功率が示されています。

つまり治療しても約2本に1本しか治らないということであり、インプラント周囲炎を治すことの難しさが分かるかと思います。

しかし、インプラントの種類や重症度によっては、この数値より高い成功率が期待できる場合がありますし、またその逆もあります。

そこで以下では、インプラント周囲炎治療の成功率に影響を与える要素について紹介します。

重症度による成功率の違い

インプラント周囲炎はインプラント周囲の骨が溶ける病気であり、病状が進行するにつれ骨の吸収量が多くなります。そして、骨の吸収量が多くなる、つまりインプラント周囲炎が重度になるにつれて治療の成功率が下がるという研究結果が報告されています。(参考文献②)

インプラントの種類による成功率の差

インプラントの種類によってインプラント周囲炎治療の成功率が変わることが報告されています。

2017年の研究では、同じ清掃方法でインプラント周囲炎を治療したにも関わらず、インプラントの種類によって成功率が低いもので16%、高いもので85%という大きな差があったことが報告されています。(参考文献③)

これらのことから、インプラント周囲炎を治療する際は、使用されているインプラントの種類も治療の意思決定に影響を与える要素の一つとなります。

 

術者の経験と成功率

インプラント周囲炎治療は、処置を行う術者の経験・技量によって治療の成功率が変わることが報告されています。

そのため、インプラント周囲炎になり治療が必要な場合は、治療経験が豊富な歯科医師の治療を受けられることをお勧めします。

当院でのインプラント周囲炎治療の成功率72.7%

当院では、豊富な臨床経験をもつ歯科医師が、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)やインプラント周囲炎治療に特化した様々な器具を使用しインプラント周囲炎治療を行っております。

世界的な治療成功率が30%~60%であるなか、当院の歯科医師が行った方法での治療成績は72.7%の成功率(2020年1月~2023年6月の期間を対象に調査) となっています。他院で抜かなくてはいけないと言われたインプラントも抜かずに保存できる可能性がありますので、是非お気軽にご相談ください。

当院のインプラント周囲炎治療についてはこちら

↑インプラント周囲炎治療の症例(オペ動画)はこちらから

【FAQ】よくある質問

Q1. インプラント周囲炎は治療せずに放置するとどうなる?

A1. インプラントを支える骨が徐々に溶け、最終的にはインプラントが抜け落ちる可能性があります。早期治療が重要です。


Q2. インプラント周囲炎は本当に治るのですか?

A2. 病状や重症度によって異なりますが、適切な診査・診断・治療を行えば多くのケースで治療可能です。当院では治療成功率72.7%の実績があります。


Q3. 初期の段階でも治療は必要ですか?

A3. はい。インプラント周囲粘膜炎の段階であれば、歯科医院での清掃と日々の歯磨き改善で治せます。早期介入により骨の吸収を防ぐことができます。


Q4. 外科的処置は痛いですか?

A4. 処置中は麻酔を使用するため痛みはほとんどありません。術後も痛み止めや抗菌薬を使用してコントロールできます。


Q5. 再発を防ぐにはどうすればよいですか?

A5. 定期的なメンテナンスと正しい歯磨き、適切な被せ物の管理が重要です。歯科医師の指導に従ってケアすることで再発リスクを下げられます。


Q6. 他院で抜くと言われたインプラントも残せますか?

A6. 当院ではマイクロスコープや専門器具を使用し、抜かずに保存できる可能性があります。症例によりますので、まずはご相談ください

 

まとめ|早期治療でインプラントを長持ちさせる

インプラントを長期にわたって健康に維持するうえで、インプラント周囲炎を予防することが最も大事です。しかし不幸にしてインプラント周囲炎になってしまった場合には、治療の成功率を上げるためにもなるべく早く治療介入する必要があります。

ただ、インプラインプラント周囲炎という病気はその歴史が浅く (インプラントという治療法が発明される前は、インプラント周囲炎という病気は存在しなかったため)、十分な知識と技術、経験を持ち合わせた歯科医師がまだまだ少ないのも現実です。そのため、自分の医院で入れたインプラントがインプラント周囲炎になったとしても、どのように対応してよいかが分からず、治療されずに放置されているケースも少なくありません。

そのためインプラントに不調を感じられた場合、まずはかかりつけの先生に相談し、しっかりとした検査と納得する説明がなかった場合には、専門的な知識を持った歯科医師のセカンドオピニオンを受けられることを推奨します。

インプラント周囲炎は正しく診査・診断・治療を行えば治すことのできる病気です。本記事が、インプラント周囲炎で悩まれている患者さんにとって少しでも役立つことを願っています。

 

本日も最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

 

本記事は、奈良県大和高田市にある歯医者(歯科医院)、斉藤歯科クリニック齊藤伸和(日本臨床歯周病学会認定医・日本口腔インプラント学会会員・日本歯内療法学会会員)が監修・執筆しています。

何か不明な点がありましたら、無料相談も受け付けておりますので、是非お気軽にご相談ください。

 

 

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参考文献一覧(References)

  1. Derks J, Schaller D, Håkansson J, Wennström JL, Tomasi C, Berglundh T. Effectiveness of implant therapy analyzed in a Swedish population: Prevalence of peri-implantitis. J Dent Res. 2016;95(1):43–49.
  2. Serino G, Turri A, Lang NP. Outcome of surgical treatment of peri-implantitis: results from a 2-year prospective clinical study in humans. Clin Oral Implants Res. 2011;22(11):1214–1220.
  3. Carcuac O, Derks J, Abrahamsson I, Wennström JL, Petzold M, Berglundh T. Surgical treatment of peri-implantitis: 3-year results from a randomized controlled clinical trial. J Clin Periodontol. 2017;44(12):1294–1303.
  4. de Waal YC, Raghoebar GM, Huddleston Slater JJ, Meijer HJ, Winkel EG, van Winkelhoff AJ. Implant decontamination with 2% chlorhexidine during surgical peri-implantitis treatment: a randomized, double-blind, controlled trial. Clin Oral Implants Res. 2015;26(9):1015–1023.

 

齊藤伸和 副院長

この記事の監修者

齊藤 伸和(さいとう のぶかず)

奈良県大和高田市「斉藤歯科クリニック」副院長
日本臨床歯周病学会 認定医
日本歯内療法学会・日本歯周病学会・日本口腔インプラント学会 会員


国立北海道大学歯学部卒業後、インプラント治療・歯内療法(根管治療)・歯周病治療を専門に学び、 現在は奈良県大和高田市の 斉藤歯科クリニックにて、 マイクロスコープや歯科用CTを用いた精密治療を行っています。
「歯の保存」を第一に考え、再発を防ぐ治療と丁寧な説明を心がけています。